不安を乗り越え実りを
本日は虚往実帰「きょおうじっき」というお大師様が唐から密教を日本に持って帰って来られた時に残された言葉をご紹介させていただきます。
お大師様は唐に新しい仏教である密教がある事を風の便りに知り、遣唐使船に乗って留学僧として唐に渡られました。当時は天気予報もなく船も木材を打ち付けて作っただけの船だったこともあり命懸けの船旅でした。実際に4隻の船のうち2隻は嵐に飲まれて行方不明になりました。しかしお大師様の船と天台宗の宗祖最澄様の船は無事に唐にたどり着いたのです。ただ誰に合えば密教の教えを伝えてくれるか見当もついていなかったのです。ある時先に唐にたどり着いた留学生から長安の恵果和尚の存在を知ります。
長安寺を尋ねた所恵果和尚はお大師様に密教の全てを伝授されたのです。自らの命が残り少ないことを知っていたこともあり多く弟子を抱える高僧の方でしたが日本から来た留学僧のお大師様の志に感銘を受け伝授を決意されたと言われています。そして全てを授け終わった後恵果和尚はお亡くなりになられました。亡くなる直前にお大師様に早く日本に戻るようにとお話しになられました。遣唐使船でまた日本に戻ってきたお大師様ですが、国が定めた留学期間を破り二年弱で帰って来たことからしばらく都には入れませんでしたが、その後は誰でも学ぶことが出来る学校を作ったり、中国で学んだ土木技術を使って満濃池を作る等人々の幸せの為に尽くされました。
私達は日々の暮らしの中で色々と不安を抱えて生きています。しかし自分で動かなければ何も始まりません。お大師様も自ら動かれた事で色々なご縁と出会い、密教を日本に持ち帰り真言宗を確立されました。皆様も最初は不安かもしれませんが、最終的に実りがあると感じられる人生を自ら動くことで築いていただきたいと思います。